ネック折れ(ヘッド折れ)の修正


まずは、ネックが折れてしまったというお客様。多大なるショックを受けておられる事と思います。心中お察しいたします。
そのギターの生命が危ぶまれるダメージといえるネック折れですが、思い入れのあるギターであれば再び弾ける状態にしてやりたいものです。
多くの場合は修正が効きますので、まずはご相談ください。(できればメールで画像などをお送りいただけると助かります)


参考ギター:Epiphone Casino
カラー:Cherry


ヘッド根元が折れた状態です。
ヘッドに角度がついている、アコギやギブソンのエレキギターなどは、このナット周辺が弱点になっており、誤ってギターを倒すような事があると、小さな亀裂や大きな割れがおこります。

今回のケースは、ネック裏側(2フレット付近)から、ヘッド正面(6弦ペグ穴)にわたる割れで、ダメージとしては大きな方だと思います。
樹脂系の接着剤を亀裂部分に適量塗り、傷が付かないように添え木をして、クランプでしっかりと固定します。圧力をかけると亀裂から接着剤が漏れてきますが、余分な部分は拭き取ります。当店が使用しているものは24時間で完全硬化しますので、このまま1日おきます。
接着が完了後です。
再塗装の下地をつくります。サンドペーパーで塗装面に傷を付けて、塗料ののりを良くします。ついでに割れ部分のバリなどがあればそれも落とします。
塗装完了の写真。
カラーは、ヘッド正面はクリア、裏側はボディー同色のチェリーです。

正面は黒なのですが、黒を塗るとブランドロゴなどもつぶしてしまうため、クリアを使用します。ただ、6弦ペグ穴に達していた亀裂を隠すため、その周辺のみ下地に黒を塗ってぼかしています。

裏側はボディー色に合わせたチェリーですが、亀裂痕を目立たなくするために、少し濃い目の色を使用し、違和感の無いようにグラデーションとしています。

仕上げにもう一度クリアーを吹き、バフがけして磨き上げます。
ペグ・ナット・トラスロッドカバー・弦を取り付けます。
最終的に生音でのサウンドチェックや、接着部とその周辺に歪みがないかを確認して、完成です。

気になる仕上がりについては・・・
見た目は、言われなければ気付かない程度になります。
サウンドは、ほとんど折れる前と遜色ないものだと思います。
強度は、強力な接着のため、同じ部分が割れる事は、まずありません。

これでまた、愛着のあるギターを使っていただくことができます。