ネックの反り

なぜギターのネックは反るのでしょうか? 反りさえなければ快適なギターライフが送れそうなものですが・・・


ネックの反り方は2種類。

図を用いてご説明しましょう。左にヘッド、右にボディーがある状態です。
茶色い部分がヘッド・ネック・ボディー、そこにナットがあり弦が張ってあるというのを表しています。

順反り
ネックが弦の張力に負けて弓のように反り、指板中央部分と弦との距離が開いています。
演奏上の症状としては、ローフレットからハイフレットまで全般に弦高が高く弾きにくくなり、さらにハイフレットではビビリが発生します。
逆反り
ネックが弦の張力に勝っており、指板中央部分と弦との距離が近づき過ぎています。
演奏上の症状としては、極端に弦高が低いポジションがあり、ちょっと強く弾いただけでビビリが発生します。
※分かりやすく誇張して書いてありますが、実際はコンマ数ミリというレベルでの反りです。

ネックの反りの原因としては大きく分けて2つの要因があります。

【弦を張っているから】
そうです、ギターには弦が張ってあります。
弦は金属でできており、ボディー側(ブリッジ)を支点にして強い力でヘッドを引っ張っています。その力はチューニングした状態で数10kgにもなり、順反り方向へ引っ張ります。
弦を張りっぱなしにしていると順反りになることが多いです。

【ネックが木でできているから】
木材は性質上、寒いと収縮し・暑いと膨張します。
その木材自体の動きと木材の目の向きなどの相互作用で、反りが発生します。
また多くのネックには指板が貼られていますが、ネックと指板の材質の違いで伸縮率も異なります。
それぞれの木材が違った伸縮を行なう事で、そこに歪みが生じて反りとなります。


クラシックギターを除く多くのギターのネックには、発生した反りを矯正するためのパーツ『トラスロッド』というものが内蔵されています。このロッドを専用のレンチで締める・緩めることによって、ある程度の反りは解消されるしくみになっていますので、ご安心ください。

しかしながら調整できる範囲にも限度はあります。
アコースティックギターやベースギターにおいては、弦を張る力が強いため弾き終わったら弦を緩めるという習慣をつけるようにしてください。エレキギターは弦が細いため長期保管される時以外は緩める必要はなさそうです。